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「中越沖地震における原子力施設に関する調査・対策委員会」における新潟県危機管理監の発言内容をお知らせします。

2007年07月31日

平成19年7月31日
防災局原子力安全対策課
平成19年7月31日(火)午後5時から経済産業省で開催された、「第1回中越沖地震における原子力施設に関する調査・対策委員会」において、斎田英司新潟県危機管理監が発言した内容を、別紙のとおりお知らせします。
「中越沖地震における原子力施設に関する調査・対策委員会」
(平成19年7月31日)危機管理監発言内容
1 地震発生時の原子力事業者による自衛消防体制、情報連絡体制及び地元に対する情報提供の在り方について

 今回の地震では、発電所敷地内で発生した火災に対して自衛消防が機能しなかったことや消火栓等資機材の不備、緊急対策室の使用不能や休日の人員体制、地域への情報提供の遅延など、危機管理に対する対応について様々な問題が提起されました。
このため、危機管理体制の充実・強化に向けた国の指導・監督を徹底するとともに、地域に対して迅速かつ正確な情報提供ができる体制を構築し、地域住民の不安の払拭に努める必要があると考えており、大きく二点について指摘をします。


先ずは、自衛消防体制等の問題点でありますが、具体的には、
第一に、発電所敷地内で発生した火災に対して自衛消防が機能しなかったこと。
特に、変圧器の周囲に消火作業を行う者が誰もいないなかで、変圧器から炎と黒煙が上っている映像は専門家の目から見ても、非常に危険な映像に見え、これが世界に配信され、大きな誤解を生みました。

また、第二に、消火栓が機能しなかったことや、化学消防車が配備されていないなど、消火用の資機材に不備があったことであります。

第三に、消防署とのホットラインが一時使用不能となったことや、招集体制を含む休日の人員体制が不十分であったことなどが指摘されます。

 これらの点につきましては、先日経済産業大臣の指示に基づきまして、東京電力は対応策等を報告しているところであります。地域住民の安心を確保するには、消防庁が原子力発電所の火災に対して、より一層の監督をする法体系が必要と考えております。
なお、発電所は巨大なシステムであることから、地元の消防のみで本当に監督ができるのか、今後、消防庁による検証を行う必要があるのではないかと考えております。


次に、情報連絡体制及び地元への情報提供の在り方に係る問題点としては、3点について申し上げます。
第一には、地震発生当初、原子力発電所3号機に隣接する所内変圧器から上がる黒煙がテレビ映像で流される中、国からは避難等に関する指示や見解が何ら示されませんでした。
また、電話が繋がらない状況で、県から原子力安全・保安院への照会に対し、「住民避難の必要無し」と回答が来たのは11時32分でした。
このような事態が生じた場合は、住民避難の必要性について、国が自律的に判断を行う仕組みが必要と考えます。
また、保安検査官事務所は、知事が7月24日に経済産業大臣に対し、地元で情報を提供するよう要請を行ったことを受けてから、初めて対応を開始したことであります。
このように、今回の事象で申しますと、国の対応は、後手後手に回ったのではないかと感じております。

第二に、これまでの度重なる東京電力の「トラブル隠し」、「データ改ざん」などにより、東京電力の信頼が失われているなか、現在は、東京電力自らが「安全である」と言えば言うほど地元は不安になるという状況です。
このため、事業者は「事実関係を迅速・透明に公表すること」に留め、原子力安全・保安院が「その事実に関して解説・評価を行う」という役割分担が必要であると考えます。
特に国は、原子力の知識が必ずしも十分でない国民・県民に対して何が起きていてどのような意味を持つのかを、専門家だけが理解できるような言葉でなく、素人に理解しやすく説明する必要があると考えます。

第三に、住民からは、原子力安全・保安院の顔が見えなかったといわれており、国民の信頼性を確保する観点からも、原子力安全・保安院は原子力発電を推進する経済産業省からの分離独立を行う必要があると考えております。

2 平成19年新潟県中越沖地震から得られる知見を踏まえた耐震安全性の評価について

 耐震安全性の評価についてでありますが、今回の新潟県中越沖地震では、全号機で耐震安全性評価の基準となる地震の加速度が設計値を超え、2号機では実に3.6倍もの加速度が観測されました。これは、国の原子力発電所建設に対する基本的考え方が問われる事態であると考えています。
立地地域の住民は、この想定を超える地震の発生により、発電所の耐震安全性に大きな不安を持っており、安全が十分に確認できない限り、原子力発電所の運転を再開させるべきではないと考えております。このため、県市村は、7月17日に東京電力に対して、地域の了解無しには再稼働しないよう、安全協定に基づく措置要求を行いました。


具体的には、次の5点について申し上げます。
第一に、「想定外」の揺れにおそわれた要因を、国の責任で明らかにすることが必要です。
東京電力は海域を含む周辺地域の地震を引き起こす断層を過小に評価し、「想定」を上回る地震に見舞われた、と述べています。しかし、なぜ、「想定」できなかったのか、「想定外」であったこと自体が問題であり、その原因は何か、県民・国民が納得する形で国が責任を持って説明しなければなりません。

第二に、原子力発電所等の耐震設計審査指針等の抜本的な見直しが必要です。
経済産業大臣は昨年9月に策定された新しい耐震設計審査指針に沿った調査を各原子力発電所について急がせるとしています。しかし、新指針によった場合、震源断層の長さや地震の規模を過小に評価することなく、正しく評価できるものであるかどうか、改めて見直すことが必要です。
また、旧指針で建設が許可され、建設・稼働している原子力発電所において、今回の地震のように、基準地震動に基づく設計値を上回る加速度の揺れが起こった場合、新指針に沿って耐震設計を進めれば大丈夫かどうかということを明確に示していかなければなりません。
その上で、その新指針に沿った調査結果の報告を受け、再審査を行わない限り、県民・国民の納得は得られないと考えます。

第三に、原子炉設置・稼働に対する安全性審査・維持に関して保安院ならびに安全委員会は責任を持って厳格に対応することが必要です。
想定した加速度の3.6 倍もの揺れを観測したことから、各電力会社から出された設置許可申請に対して安全委員会が耐震安全性を評価するに際して、独自に調査などを行った上で、耐震設計審査指針に照らして厳格に評価すること、さらにはいったん許可をしたものに対しても、その後の知見が明らかになった時点で、再度の検証を求めるなどの対応が必要であろうと考えます。
今般の海域での震源断層の過小評価が問題になっていますが、設置許可以降に、新たに通産省地質調査所(現産業技術総合研究所)から東京電力の調査結果と異なる評価が出されたにもかかわらず、安全委員会並びに保安院からは何らの指示も出ていなかったのは極めて遺憾です。

第四に、原子力発電所内においては、今回火災発生の原因となった絶縁油のほか軽油等も存在するため、火災発生防止等の観点からの耐震重要度の見直しが必要です。

最後に、今回の地震により、発電所構内の道路が所によっては1m以上も地盤沈下し、消火栓の配管が損傷するなどの大きな被害が出ていることから、発電所構内の全体に対する地盤対策を施す必要があります。

3 平成19年新潟県中越沖地震発生時における原子炉の運営管理の状況と健全性及び今後の対応について

 今回の地震発生時における原子炉の運営管理についてですが、6号機では使用済燃料プールから溢れた水が海水に、7号機では放射性ヨウ素等の大気への放出が確認されております。漏えいした放射能量は微量であるとは言え、人為的なミスも重なっていることから、今回の事象を検証し、地震などの自然災害における放射性物質の漏えいの防止対策について検討をする必要があると考えております。

 また、地震により雨水等の水漏れの事象が多数発生し、建物内の溜まり水など、多くの採取した試料の放射性物質測定の必要が生じました。しかし、放射線分析技術者の要員が確保できず、試料採取の不手際も重なり、測定結果が判明するまでに長時間を要する結果となったことから、非常時における速やかな試料採取や測定業務ができる体制を構築する必要があると考えております。

 さらに、地震後、東京電力のモニタリングデータの送信が途切れました。幸い県のモニタリングシステムには支障がなく、ホームページでデータ公表が続けられたため、大きな混乱にならなかったと考えています。今後の検証のなかで、地震に対する東京電力の放射線監視システム対策も求められるべきと考えます。

 今後の対応についてでありますが、それを考えるにあたり地元新聞が行ったアンケートを紹介します。これは、7月29日地元の新聞(新潟日報)に、今回被災された市民へのアンケート結果が掲載されました。
 「不安に思うこと」のトップは、「住宅再建」ではなく、「原発トラブル・放射能漏れ」となっており、如何に地域の住民の不安が大きいかが分かります。
原子力発電所を受け入れた地域の住民だけにリスクを負わせ、「電力は首都圏へ、リスクは地元で」では立地地域は浮かばれません。安全が確保されるのであれば、運転再開はやむを得ないとの回答が半数ありましたが、今後の事業者や国の行政の対応いかんによっては、この容認の回答も反対に回るのではないか、また、全国へ波及して大きな問題になるのではないかと危惧しているところであります。

 この委員会は、安易に再開に向けた議論の場とすべきではなく、あらゆる角度から徹底して検証を行ったうえで、十分に議論する必要があると考えます。

4 その他

原子力災害対策特別措置法の改正と風評被害の防止対策について
 原子力災害対策特別措置法についてでありますが、この法律は原子力災害の発生を想定して制定されており、放射能漏れが想定されない状況では法律は適用されません。原子力発電所が大規模自然災害等により被災した場合でも、国が原子力災害と同様な体制を構築して、現地で国、地元自治体、事業者が情報共有を図り速やかに対応できるよう、原子力災害対策特別措置法の改正が必要であると考えます。

 また、今回の地震により、発電所3号機の変圧器から黒煙が立ち上る映像が世界に流され、また6、7号機から放射能が漏洩しました。確かに漏洩した放射能の量は、微量ではありましたが、火災の映像とダブったことから、非常に広範囲にわたる、世界的な風評被害が発生しております。今は海水浴で賑わうはずの県内各地の海水浴場は例年の1/10程度しかお客が来ていない状況ですし、漁業においても取引に苦労していると聞いております。

 県としましては、発電所前面海域の海水の放射能測定を始め周辺の大気の放射性ヨウ素測定、さらには農水産物の放射能測定や県内主要海水浴場の海水の放射能を測定し、全てにおいて検出されなかったと公表しているところです。

 このような、風評被害については、国がしっかりと環境への影響等を評価して、問題ないときちんと説明する必要があったのではないか。また現にこれだけの風評被害が出ているときは、県だけの力では如何ともしがたく、国の力で全国、全世界に向けて安心情報を発信して頂くとともに、原子力損害賠償法の適用についても検討する必要があるのではないかと考えます。

報道発表資料(PDF形式  35 キロバイト)
本件についてのお問い合わせ先
原子力安全対策課長
担当:松岡
電話:025-280-5256(直通) 025-285-5511 (内線)

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