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新潟県ホーム の中の観光・イベントの中の【魚沼】[魚沼の風景]「早津ギャラリー」には、今はなき日本の原風景が生き続けています
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【魚沼】[魚沼の風景]「早津ギャラリー」には、今はなき日本の原風景が生き続けています

2019年01月09日

     魚沼市にお住まいの早津剛先生は、古民家を中心に、油絵や水墨画を描き続けてこられました。
     これまでに、県内外で多くの個展を開催されており、画集も出版されています。
     この度、作品を展示している「早津ギャラリー」へお伺いしました。
     早津先生から、絵に関することのほか、古民家の構造や、各地の古民家を観光に活かしている地域の実情など、多くのお話をお聞きすることができました。
    早津ギャラリー

    「早津ギャラリー」に到着しました

     「早津ギャラリー」は、小出公園から少し降りた高台の住宅街にあります。市街地や魚野川を眼下に見渡し、正面には越後三山が見えるという眺望が素晴らしい場所です。
     最寄りのJR小出駅から徒歩15分といったところでしょうか。来館者用の駐車場もあります。
     ギャラリーは、基本的には日曜日に開館しており、早津先生自らご案内をされているそうですが、土曜日や平日は、前もって電話等で連絡しておけば、早津先生から直にお話を聞くことも可能です。来館の際は事前に開館の状況などをご確認ください。

    早津ギャラリー外観

    展示作品と早津先生

    ギャラリーの展示作品

     ギャラリーに展示してある作品は、随時入れ替えを行っています。
     早津先生の作品は、茅葺屋根の古民家のイメージが強いのですが、私が伺ったときは、竹鶴酒造の絵が展示されていました。
     この絵は、以前NHKで放送されたドラマ「マッサン」の主人公の生家である亀山酒造のモデルとなった竹鶴酒造を描いたもので、ドラマが放送されることなど知る由もない頃に、広島県竹原市まで出向いて描かれたものだそうです。

    展示作品

    芸術作品としての価値だけではありません

     ギャラリーに展示されている作品は、スペースの関係もあり十数点ですが、その2階には、1,000点近くの作品が収納されていました。
     全ての絵の淵には、県内市町村や県別に分けた色と、作成年の数字が記載されていました。
     県内の茅葺屋根の古民家は、ほとんど描き尽くしたそうですが、描いた古民家の多くが現在では取り壊され、存在していないのだそうです。
     そう考えると、ここに収納されている作品は、芸術としてもそうですが、文化財的資料としての価値も高く評価されています。

    収納された作品

    色分けの凡例

    早津作品の特徴、作風

     早津先生は、現場主義を貫いておられます。一つの絵をその現場で描き上げます。描くスピードも速く、下描きをしないことも特徴で、被写体の遠い部分の空などから書き始め、その上に山、その上に古民家、その上に手前の木々というふうに重ねて描きます。

    ギャラリー内部

    魚沼市に作品50点が寄贈されます

     早津先生の作品50点が魚沼市に寄贈されます。寄贈式は、平成31年1月29日に魚沼市堀之内公民館で行われる予定です。
     魚沼市や近隣市町の古民家を描いた作品を中心に、県内の他地域や県外の古民家を描いた作品が寄贈されます。
     ギャラリー受付付近には、寄贈する作品が用意されていました。

    寄贈される作品

    雪国の茅葺古民家についてお伺いしました

     早津先生は、茅葺古民家の構造にもお詳しく、いろいろ教えていただきました。
     雪国の古民家の構造のひとつとして、「中門造り」というものがあります。
    玄関先が飛び出しており、家屋が、L字型や凸型をしています。玄関を抜けると土間があり、そこから居間、座敷へとつながる構造です。
     また、魚沼地域では、川の上流や大きな山の方角に座敷の神棚があるように造られているそうです。
     これは、山岳信仰、自然崇拝なのか、無意識なのか魚沼地域の古民家に共通しているそうです。

    古民家の構造略図

     早津先生は、魚沼市(旧守門村)にある国の重要文化財の「目黒邸」の作品を多く描かれてきました。
     「目黒邸」の姿を見続けてきただけあり、人一倍思い入れを持っていらっしゃいます。
     茅葺古民家には、囲炉裏や釜土などから出る煙を屋外に排出する口があり、「千鳥破風」(ちどりはふ)などと呼びます。
    「目黒邸」は、玄関の上に「千鳥破風」があります。屋根の葺き替え後に形が変わっていますが、かつての「千鳥破風」は、とても特徴的な厚みがあり、その形も毛筆の八の字のようにきれいな反りがあったそうです。

    目黒邸(魚沼市のパンフレットから)

    最近の創作活動からまちづくりまでいろいろなお話をお伺いしました

    「最近の創作活動状況をお伺いしました」
     早津先生は、ご高齢ですが、現在でも意欲的に作品製作に取り組んでおられます。
     しかし、近年では、年間に油絵10点、水墨画30点程度と少なくなつてきているそうです。
     それは、題材となる茅葺古民家がほとんど無くなってきて、描きたいけれど描けない状況なのだそうです。
     もし、良い題材があれば何処へでも飛んで行きたいという気持ちをお持ちだそうです。

    「雪上水墨画に取り組んでいます」
     早津先生は、毎年3月に、折立地区温泉組合主催の「百八灯祭り」において雪の巨大な壁に墨を吹き付けたり、削ったりして「雪・墨・画」と名付けられた作品を制作しています。
     平成30年3月の開催では、魚沼市堀之内の正安寺で出土の「火焔型土器」をモデルに作品を制作されました。
     このイベントは、毎年3月の第一日曜日に開催しているそうです。平成31年は3月3日(日曜日)に開催れる予定です。今度のテーマは、見てのお楽しみということです。ぜひ祭りに足を運んでみましょう。

    「先生とのお話は、まちづくりにもおよびました」
     全国には、古い街並みをそのまま残したり、古民家を復活させて観光に活かしている地域が多くあります。
     早津先生は、それら各地でどのように地域の合意を形成していったかなど事情についても、とても詳しく知っておられました。
     また、芸術・文化から地域おこしも可能ではないかとのお考えです。
     よく考えれば、魚沼市出身で芸術や文学作品を残された著名人は、星襄一(版画家)、大嶋月庵(水墨画家)、山岡荘八(小説家)、宮柊二(歌人)など、多くいらっしゃいます。
     また、ここ魚沼には多くの石川雲蝶作品もありますし、早津先生の作品の中に、雪国文化が記録されています。
     地域が更に関心を持っていかなければもったいないと思います。

    「早津ギャラリー」には陶磁器のコレクションも多く展示されています

     「早津ギャラリー」には、早津先生が収集した陶磁器のコレクションも多く展示されています。
     ここで最も多く展示されている陶磁器は、大久保焼といって柏崎で作られたものです。明治時代の初期に京都の清水六兵衛(きよみずろくべい)から指導を受けて作られたものです。清水六兵衛は、柏崎のほかに長岡、三条、豊栄でも指導を行い、それぞれの場所で陶磁器が作られていましたが、大久保焼以外はほとんど残っていないそうです。
     「早津ギャラリー」では、こちらも注目です。

    陶磁器のコレクション

    関連サイトへのリンク


    【レポーターから】
     私は、この度初めて「早津ギャラリー」に入館させていただきました。
     早津先生の作品は、いろいろな場所で目にすることがありますので、ある程度は知っていいましたが、取材にお邪魔して、早津先生から直にお話を伺ったり、多くの作品を見せていただき、まず感じたことを一言で申し上げると「継続は力なり」です。
     何十年もの間、もう描く題材がなくなるほど古民家を描き続け、そして描き尽くす執念を感じました。(今も現役で意欲を持っていらっしゃいます。)
     皆さんも一度訪れてみてはいかがでしょうか。

       中越家畜保健衛生所 馬場

     「魚沼の風景」は、魚沼市内に勤務する県職員が、日々の業務や暮らしの中で見つけた、魚沼のイベント、特産物、観光地など魚沼の魅力をレポートするものです。なお、掲載内容については正確を期するよう努めておりますが、限られた時間での取材であるため、不十分な点がある場合もありますので、ご容赦下さい。